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「極上はちみつ紅茶」ができるまで
極上はちみつ紅茶開発ストーリー
紅茶専門店ラクシュミーを代表する商品「極上はちみつ紅茶」は、とても思いが詰まった紅茶です。2011年に日本初のはちみつ紅茶として誕生した極上はちみつ紅茶への「たくさんの思い」、「はちみつ」や「茶葉」、「ティーバッグ」へのこだわりをご紹介させていただきます。
開発は2年以上。試したはちみつは1000種類以上。
極上はちみつ紅茶のこだわりの1つは「はちみつ」です。
「やはり国産の高級はちみつを使用して作りたい!」
最初は多くの方と同じように考えました。ですがここからが苦労の始まり。そんなに簡単ではありませんでした。
一度作ると決めたのだからあきらめない!
そういう思いで試飲、試作を繰り返し、気づけば2年以上の歳月と1000種類以上のはちみつを試すという大困難に立ち向かうことになったのです。
一口で幸せを感じられる美味しいはちみつ紅茶
私は幼少期からのどが弱かったために、紅茶にはちみつを溶かしてよく飲んでいました。
ですが、洗い物がべたついて大変だったり、高級なはちみつほど淹れると濁ってしまったり、後味が甘すぎてすっきりしないなど、紅茶にこだわりが強い私にとっては満足のいくものではありませんでした。
そこで、当時紅茶教室を主宰していたこともあり、「一口飲んだだけで幸せを感じられる美味しいはちみつ紅茶」を作ろう!と思い立ったのです。
1,000種類以上のはちみつを試す日々
納得できる美味しいはちみつ紅茶を必ず作る!と心に決めてから、ありとあらゆるはちみつを手に入れ、商品になっているものから畑でとれたサンプルまで、とにかく試しました。試飲を行ったはちみつの数は産地に分けると1,000種類以上。
手に入れたはちみつと茶葉との組み合わせを考えると、バリエーションは無限にあります。試飲を繰り返す日々で、家の中にははちみつが溢れかえり、友人や知人にはちみつをプレゼントする日々が続きました。
国産高級はちみつの養蜂家でも難しい
ある日、ふと、私の親しい友人に、国産の高級はちみつを一から作って販売している養蜂家がいることを思い出し、打ち合わせることになりました。彼は、ミツバチが蜜を集める花の畑作りからやっているような、はちみつに関しては私とは比べ物にならないぐらいストイックな知識も経験もあるプロです。
やっと、思い描くはちみつ紅茶が完成するのでは?と思うと、もうワクワクする気持ちで待ち遠しい毎日でした。
そして当日。まずは、はちみつパウダー作り。1mm~2mmのパウダー状の丸い粒を作ることに成功!見た目も美しいし、色も白く丸みがあり理想の形。これは期待できます。
次はテイスティング。
期待を胸に香からチェックします。この香りは何?はちみつの香ではない臭みがある…。見た目はきれいにできたのですが、味と香りが全く期待外れでした。
はちみつをパウダーにすると臭みが出る
液体の状態では美味しいはちみつも、なぜかパウダーにする過程で美味しくなくなるのでした。臭みが出るのは国産のはちみつだけではありません。
国内で手に入るハンガリーやアルゼンチンなどの高級はちみつを使っても同様でした。パウダーにしようとすると含まれているはちみつの成分が変質してしまうのです。
また、加工工場からは、はちみつは粘度が高いので製造の機械がべたつき、手入れが大変だという理由で嫌がられたり断られたりということもありました。
もうダメかもと諦めかけた時
紅茶にとって「香り」は美味しさを決める大切な要素の1つです。
子供の頃から紅茶好きの両親のもとで育ち、紅茶の美味しさを追求してきた私にとって、香りはどれだけ苦労しても妥協できないポイントでした。海外にまで範囲を広げて、理想のはちみつ紅茶を完成させるべくトライする日々。
「もうあきらめるしかないのか…」
挫折ばかりを経験し、何度も心折れそうになりながら、気がつけば開発からすでに2年近くの月日が流れようとしていました。
スペインの出会いが運命を変える
きっかけは不意に訪れました。
ラクシュミーが主宰、企画をして毎年行ってきた紅茶教室の海外研修ツアー。紅茶教室に通ってくださっている生徒様と一緒にスペインへ訪問した時のことです。
スペイン語と日本語が堪能な通訳をお願いしていたのですが、そこで巡り合ったのが日本からスペインへ嫁がれた女性の方でした。知識も豊富でお人柄も素晴らしいその方にスペインでのエスコートをお願いしました。
この時は、この出会いが運命を変えることになるとは全く気付いていませんでした。
「極上はちみつ紅茶」誕生
スペインから帰国し数か月たったある日、電話が鳴りました。それは、お世話になった通訳の彼女からでした。
以前、日本の大手百貨店でバイヤーをしていた彼女は、スペインの商品を日本に届けたい。そんな思いから私に連絡をくれたのです。
海外に毎年行っている私は、ご縁があればまた再会できると思っているので、あまり積極的に連絡先など聞かないのですが、そういえば、別れ際に名前と連絡先を書いたメモを、息を切らしながら走ってきて渡してくれたことを思い出しました。
私が極上はちみつ紅茶を作ろうとしていることを打ち明けていたので、気に留めていてくれたのです。うれしくて、懐かしくて、スペインと日本でお話ししていることなど吹っ飛んでしまい、数時間しゃべり続けてしまいました。
それからスペインでのはちみつ探しが始まります。するとほどなくして、とある工場を見つけたと連絡が入ったのです!
情報収集をして何度もホームページも確認し、いろんな方に協力していただき、ここなら大丈夫!きっと私の思いが叶うのでは?「もしかしたら、理想の極上はちみつ紅茶ができるかも!」そう思うと私はすぐにスペインへと飛び立ち、現地で待つ彼女と共に空港のロビーへと降り立ちました。
そこで出会ったのです!
素敵なスペイン人の紳士が2人で迎えてくれたのです。出会った瞬間に「これは正解!私の思いは叶う!」とインスピレーションが働きました!
試したはちみつは1,000種類以上。2年にも及ぶ大困難を経て、思いがいっぱい詰まった「極上はちみつ紅茶」は生まれました!「一口で幸せになれるような美味しいはちみつ紅茶」の終着点へと向かって走り出したのです。
「極上はちみつ紅茶」のこだわり
「極上はちみつ紅茶」のはちみつパウダーは何が違うの?
スペインの養蜂場で宇宙服みたいな防護服を着て出会ったのはセミのような大きさのミツバチばかり!思わず私は「なんでこんなにもたくさんの女王蜂がいるのですか?」と質問したのですが、現地の養蜂家は「みんな働き蜂だよ」とのこと。
つまり、日本のミツバチからすると考えられないぐらい大きなミツバチ達がブンブンと飛び回って蜜を集めてきているのです。聞くところによると、ミツバチの育て方からして違うのだそうです。餌の与え方も違うのだとか。
極上はちみつ紅茶に使われているはちみつは「百花蜜」と呼ばれるように複数の花の蜜で作られています。
それらの花は土の状態からこだわって作られていて、養蜂場の企業秘密でもあります。ミツバチ達は囲いのない場所でストレス無く飛び回り、たくさんの花の中で生き生きと育っています。
そうして集められたはちみつは、色も美しい。薄めの琥珀色はキラキラしています。サラサラとして透明度が高いのが特長です。製法は当然ですが企業秘密です。
このはちみつパウダーは紅茶を濁らせることはありません。香りも芳醇なのに茶葉のフレーバーを邪魔することもありません。それでいてスイーツのように甘いのです。
はちみつの味だけじゃない。茶葉へのこだわりとは?
最強の極上はちみつ紅茶に仕上げるためには、茶葉を決めなければ始まりません。紅茶ソムリエとして納得いくまで何度もテイスティングを⾏い、はちみつと溶け込むように混ざり合う、味や⾹りにクセのない細かい茶葉を厳選しました。
はちみつの味ばかりが前に出てしまうと、どうしても⽢すぎる後味になってしまいます。逆に、紅茶の⾹りだけが⽴っても、はちみつ紅茶としては成⽴しません。紅茶のさわやかな⾹りや美味しさの中に、はちみつの芳醇な甘さが⼗分に感じられるブレンドであることが大切です。
紅茶の渋みや苦みなども少しアクセントに使うことで、後味にふんわり甘いしあわせな味わいが残る現在のブレンドにたどり着きました。
一般的に市販されている紅茶にはちみつを⼊れると、紅茶の⽔⾊は真っ⿊になってしまいます。これは、はちみつの成分が、紅茶に含まれるタンニンと結合し、タンニン鉄が⽣成されるため。タンニン鉄そのものは有害ではありませんので飲んでも問題はないのですが、真っ⿊な紅茶は、⾒た⽬にもあまり美味しそうではありません。
極上はちみつ紅茶は、はちみつをたっぷりブレンドしているにも関わらず綺麗な明るい透明感のあるオレンジ⾊なのですが、これも茶葉のブレンドによるもの。研究を重ね、はちみつと混ざっても綺麗な⾊を保つ茶葉を厳選しているからこその⽔⾊(すいしょく)になっています。
そして何よりも美味しさのクオリティを保つために、極上はちみつ紅茶の茶葉は⼀つの国の産地に限らず、数種類の国の茶葉をブレンドして作っています。それは、産地の気候の変化やコンディションによって味や⾹りが⼤きく変わることを防ぐためです。茶葉はとても繊細で、産地の雨量や温度の変化によっても非常に敏感に味や⾹りが変わってしまいます。紅茶のクオリティが⼤きく左右されてしまわないように様々な国の茶葉から厳選してブレンドしているのです。
10年以上の月日を経て
2021年で開発してから10年を迎える「極上はちみつ紅茶」。
最初のころは、「売れなかったらどうしよう…」「美味しいと言ってくれる人が果たしているのか?」「多くの在庫を抱えたらどうしたらよいのか?」など不安ばかりでした。一般の方々にどれだけ認めていただけるのか?考えるほどに自信がなくなってきた時期もありました。
紅茶教室をしていたものの、ほとんど無名の私が作った紅茶。わが子のように愛しい紅茶ですが、紅茶は数えられないほど存在します。営業マンがいたわけでもなく、細々と生徒さんやお客様に試飲していただき、少しずつ売れるようになっていきました。紅茶教室に参加されていたバイヤーさんやホテルの方に採用していただけるようになって、徐々に広がりましたが、一気に広まったわけではありません。
10年かけてゆっくり浸透してきました。
無名の「極上はちみつ紅茶」も今ではファンも出来、飲んだ感想のうれしいお便りやメールもいただけるようになりました。本当に感謝しかありません。ありがとうございます。
昨今は類似品が多数出てきていますが、ラクシュミーの「極上はちみつ紅茶」が末永く愛され愛飲されるように努めてまいります。
より体に優しい新商品も検討中です。またまた試行錯誤の日々が始まります。
新鮮で安心して飲んでいただける茶葉と甘く優しいはちみつのコラボは、忙しい毎日をほっとさせてくれるでしょう。
「一杯の紅茶が日々をていねいに過ごす大切さに気付かせてくれる」
そんなTea Styleを神戸から発信してまいります。これからも、皆様に応援していただけるようなおいしい紅茶つくりに邁進してまいります。
どうかよろしくお願い申し上げます。